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逝っちまったアイツ 折れない心

2 :無記無記名 :2005/10/05(水) 04:55:51 ID:qYPr2Utz
◆筋トレなんでも質問スレッド◆84kg◆
http://sports9.2ch.net/test/read.cgi/muscle/1127631319/

それは俺がウェイトのジムに友人と一緒に入会したころのことだった。
その友人は体系も体重もスポーツ暦もほとんど大差なく、おれはこの友人をライバルとして頑張ろうとしていた。
入会から1年を過ぎたころであった、俺はいつものようにトレーニングをするためジムに向かった。
そしてベンチプレスを100kgにセットし10レップスはじめた。
俺に気合がジム内にこだまする。

 ウォォォォォー!!

100kgのバーベルがカチャカチャと音を立てながら上下する。
俺の大胸筋はTシャツの上からでもわかるぐらいパンプアップされ、二の腕は血管が浮き出て、
像の足のように太く感じられる。

 フフフ・・・われながら1年でここまで到達したとは見事だな。
 そういえば奴(友人)はベンチは今どれぐらいなんだろう・・・

そう思った時に偶然その友人もジムに来た。
しばらく見ていると、なんといきなり120kgをセットし始めた。
そして、ベンチを開始した。

 デヤァァァー!!

すさまじい気迫が3mほど離れた俺の肌にも感じられた。
そして難なく10レップスこなしてしまったのである。

 俺「ば・・ばかな・・お前ステロイドにでも手を出したのか?どうやってそこまで筋肉をつけたんだ?」
 友人「それは秘密だな。だが一言だけ言っておく。今のお前ではけして俺を追い抜くことは出来ない。」
 
俺はそれ以来、奴のトレーニングを注意深く観察するようになった。
しかし、フォームややり方に特に大きな差異はなかったのである。

 おかしい・・・何か、何か違いがあるはずだ・・やはりドーピング等の薬に手を出してるんじゃないか?・・

それからしばらくしてのことである。
家にいると、俺の携帯に急報が入ったのである。
その友人が交通事故にあって、病院に担ぎ込まれたとのことだ。
俺が病院に駆けつけたときには友人は虫の息だった。

 友人「おお・・来てくれたのか・・・俺はもう駄目だ。」
 俺「何を馬鹿なことを言ってる。これぐらいの怪我なら大丈夫だ!!」
 友人「そういえば、トレーニングで何でお前が俺に引き離されてたのか話してなかったな。
   それはそんなに大した事じゃない。しかし最も重要なことだ。
   お前と俺との差は「心」、どんなことがあっても前進していこうというハングリーで負けない心だ。」

おれはその時、走馬灯のように過去の奴のトレーニングの記憶がよみがえった。
そういえば奴は風邪を引いた日でも体調の悪い日でも怪我をした日でもトレーニングをしていた。
肋骨を折っていたときは、ビッグ3が出来ずにアームカールやカーフレイズなどをひたすらやっていたのを記憶している。
風邪を引いても、回数を減らしたり重量を減らしたりしていたものの、必ずトレーニングをしていたのだ。

 友人「どんな困難な障壁があろうとも、今出来る最善を尽くす。バーベルがない環境なら、
    腕立て伏せやヒンズースクワットでもいい、とにかく最善を尽くして少しでも前進しようという心が
    お前には欠けていたのだ・・・その心を忘れず、俺の分まで頑張っ・・・て・・く・・」

その時、俺が握り締めていた奴の手が俺の手から力なく落ちた。
死んだのだ。最後の最後に俺に負けない魂、折れない心を吹き込んでこの世を去ったのである。
トレーニングに大切なのは、どんな状況でも最善を尽くすという折れない心なのだ。

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