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    俺と勇気と広末と
俺と勇気と広末と
- 23 :無記無記名 :2005/10/06(木) 11:10:03 ID:xX8J5XqD
 -  それは、ある昼間の出来事であった。  
 広末涼子似の女子大生風の女の子が俺の前を歩いていた。  
 そこに向こう側から4,5人ほどのヤンキーが歩いてきたのである。  
  
  ヤンキーA「ようよう、ねーちゃん、俺たちとあそぼうぜ!」  
  女の子「いやです、はなしてください!」  
  
 おれは勇気を振り絞ってそのヤンキーに向かって叫んだ。  
  
  俺「やめろ!文句があるなら俺が相手だ!」  
  
 その瞬間、ヤンキーの一人の前蹴りが俺のたるんだ腹筋にめり込みうずくまった。  
 そう、おれは高校を卒業して以来3年間まったく運動をしていなかったのだ。  
 次の瞬間、背後から人の気配を感じ、そして俺の肩に手をかけ、こういった。  
  
  なぞの男「よくやった、しかしお前では無理だ。俺が代わろう。」  
  
 その男は身長は180cmほどで体重は約100kg。鍛え抜かれた筋肉がTシャツの上からでもはっきりとわかる。  
  
  ヤンキーB「かっこつけてるんじゃねー!!」  
  
 ヤンキーの金属バットが容赦なくその男に襲いかかる。  
 金属バットは肩口にフルスイングでヒットする。しかし鍛え抜かれた上腕二等筋三等筋と三角筋はびくともしない。  
 むしろ金属バットが折れ曲がっているのだ。  
 この強靭な肉体には歯が立たないと悟ったのか別のヤンキーが男に鉄パイプで頭を狙ってきた。  
  
  ヤンキーC「がはは!、頭なら筋肉がついてないだろう!死にさらせや!!」  
  
 その瞬間、男の眼光は鋭くなり、マグナム並みの右ストレートがヤンキーの胸板に襲い掛かった。  
 象の足のように太い太もものどっしりとした下半身による腰の回転、戦車の装甲のように分厚い大胸筋、  
 ハンドボールのような大きさの三角筋から生み出されるそのストレートパンチはヤンキーの胸板にめり込み、  
 ヤンキーを5mほど吹っ飛ばしたのである。  
  
  ヤンキー集団「ちきしょー、おぼえてやがれ!!」(そして走り去る)  
  男「お嬢さん、大丈夫ですか?」  
  女の子「ありがとうございます。お礼をしたいので、お名前をお聞かせください。」  
    
 もはや俺は蚊帳の外であった。それもそのはずだ、大見栄きってヤンキーに立ち向かったものの一撃でKOされたのだから。  
  
  男「お礼はいりません、当然のことをしたまでです。御礼が必要なのは勇気を振り絞ったあの人ですよ。」  
  
 と言って俺のほうを指差したのである。  
 おれはとてもお礼など受ける心境ではなかった。そしておれは黙って走り去ったのである。  
  
  勇気だけじゃ何もできないんだ。  
  勇気は力に裏打ちされてこそ始めて価値があるんだ。  
  だから俺はお礼など受ける資格はない。でも、いつの日か俺はこの体を鍛え上げ、  
  真の男になってみせる。もしその時同じようなことがあったら、その時、胸を張ってお礼を受け取る資格があるのだ。  
  
 走り去る俺の目にはいつしか涙がうかんでいた。   
 
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