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心で負けた柔道大会

51 :無記無記名 :2005/10/09(日) 10:49:05 ID:dy5ZO9h8
馬鹿やろう!!
おまえらスタミナが重要だとか基礎体力だとかパワー、スピードだとか、そんなものよりもっと大切なものがあるだろ!
格闘技に重要なものを頭に浮かべたときにそんなものしか頭に浮かばないようじゃ、お前らは2流、いや3流以下だ!!
ここ数日間、この板を留守にしていたら、わけのわからんことばかり言う奴がはびこってるようだな。
どうやらここまで大口をたたくからには俺の過去の経験を語らなければ収拾がつかないだろうな・・


そう、それは俺が高校2年のときの話だ。
名前までは明かせないが俺は実は当時柔道でオリンピック出場候補選手だった。
春になり新入生が高校をにぎわす季節になり、柔道で名門であるわが校にも多くの猛者どもが入部してくる。
どの進入部員も見るからにガタイが良かったりスタミナがありそうだったり、身長が高かったりとそれぞれ光るものを持っていた。
そんな中、何の特徴もなさそうな普通の部員が混じっていた。
入部したその日から猛特訓が始まり、半年が過ぎたころだった。
部員全員の体力測定をしてみたところ、その普通の部員は肺活量がほかの部員の2/3程度しかない。

 俺「貴様!!この肺活量はなんだ!!スタミナが重要な柔道でこんなことでやっていけると思ってるのか!!」

 普通部員「すいません、頑張ったんですが喘息持ちなのでどうも肺活量でひけをとってしまってるようです。
      もっとスタミナをつけるように頑張ります。」

それから数ヵ月後に柔道の全日本大会が行われた。
次のオリンピック代表選手に選ばれるためにはぜひ優勝しておきたい大会である。
俺は順調に勝ちあがり、準々決勝に勝ち進んだ。
なんと、試合相手はその普通部員である。

 雑魚だと思って今までほとんど気にもかけなかったが、こいつは全日本に出れるほど実力があったのか
 しかも準々決勝までくるとは・・・
 しかしあんな肺活量じゃ、オリンピック候補の俺には通用しないな・・簡単にひねりつぶしておくか・・

開始の合図ともに俺は怒涛のラッシュをかけた。
得意の大外狩りから背負い裏投げと様々な技を仕掛けていった。
足腰が強いらしく、俺の攻撃をうまく踏ん張り、それだけではなく逆に反撃としてどんどん技を仕掛けてくる。

 このやろう・・なかなかやるな・・しかしこのまま行けばスタミナで勝る俺が後半で圧倒的有利だ

俺はこのまま攻め続けた。案の定、普通部員はスタミナが切れ始める。
だが俺もかなり疲れだした。
そして次第にお互い動きが鈍くなっていく。

 俺「デヤァァァー!!!」
 普通部員「ヌオォォォォー!!!」

スタミナが切れた二人の気合が会場にこだまする。
もはや両者とも、たっているのが精一杯だ。今すぐにでもひざを突いて休みたい・・そんな考えが頭をよぎったその瞬間だった。
景色が一回転し、おれは無重力状態のような感覚になった。
そしてなぜか俺は天井を見ていたのである。

 「一本!!」

負けたのである。この俺が負けたのだ。
後で聞くと、普通部員のスタミナはとっくにそこを尽きていて、意識すら朦朧としていたらしい。
恐らく肺活量であれだけ劣っていたら、スタミナ切れにより俺以上の地獄の苦しみを味わっていたに違いない。
だが、心は折れていなかった。僅かな隙でもあればそこを狙っていこうという虎視眈々と獲物を狙う植えた狼のような目をしていたのを記憶している。

俺は悟った。折れない心さえあればスタミナや技術、パワーの差さえも覆すことが出来る。
パワー、スタミナ、技術、スピードのすべての面で圧倒的に凌駕していた俺が心で負けたのだ。
折れない心こそ格闘技に最も重要なものだと確信した瞬間であった。

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