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たけしの死

231 :無記無記名 :2005/11/14(月) 22:05:02 ID:Ud3lIvm0
馬鹿やろう!!
てめーら何マイナスなことばかり考えてるんだ!!
人生において、どんな状況下でも最後まで自分を裏切らないのは友達でも親友でも親兄弟でもない!!それは自ら鍛え上げた筋肉だろう!!
どうやらこの過激な発言をお前らに理解させるには俺の過去の経験について触れなければどうにもならないようだな・・

それは3年前の寒い冬のことだった。
俺はいつものように北海道のジムでウェイトトレーニングを行っていた。
その日は俺の友人のたけしもジムにいた。

 デヤァァァァァァー!!

おれのベンチプレスの迫力が周りのトレーニーを圧倒する。
全身が完璧なブリッジを作り、そのバルクアップされた筋肉が服のうえからもオーラを放っている。
そして150kgのバーベルが上下する。

 たけし「さすがだなあ、俺はちょっと向こうでレッグプレスをやってくる。」

レッグプレスのマシンはジム内で目立たない片隅においてあった。
そして、おればベンチプレスを終えアームカールをやっていた。
その時、たけしがレッグプレスを終えこちらに戻ってきたのである。
その時だ、どこからか男の叫びが聞こえる。

 男「おい!だれか!レッグプレスのマシンが壊れてるぞ!!」
  「誰が壊したんだ?!」
 俺「たけし、おまえが壊したのか?!」

 たけし「おれはやってない!!レッグプレスをやろうと思ったけど、
    気が変わってレッグエクステンションをやってたんだ、だからそのマシンは使っていない!」

だが、周囲の疑いの目はたけしに向けられる。
なぜならあの周辺にいたのはたけし以外にいなかったからだ。
理論上、たけし以外に壊すことはできないはずだと一瞬で判断した口より前に豪腕パンチがたけしのあごをとらえたけしをふっ飛ばしていた。

 「馬鹿やろう!!貴様、それでも男か!!男なら嘘などつくな!!」

たけしの体は宙を舞い、壁にたたきつけられた。
だが、たけしはそれでも自分はやっていないと言い張る。
しかしこの状況下では逃れるすべもなく、高額の修理費がたけしに請求されることになる。
そしてたけしはそのお金を払いジムを脱会し、居所がわからなくなった。
ここからは、それから数日後に見つかったたけしの日記による記述である。

 それによるとたけしはマシン破損の疑惑をかけられたため自分の持ち物をすべて質に入れ、
 金目のものは全部売り払い支払ったとのことである。
 マシンを壊したことを言い逃れしようとしていたうわさが膨らみ、いつしか仕事場では犯罪者扱いされる。
 そして職を失うことになったのだ。
 その月の家賃を払うだけのお金が残らなかったたけしは残りのお金と、換金することのできなかった
 二束三文の残りの財産や服などを部屋に残し、メモが置かれていた。
   「大家さんへ   今月の家賃が払えませんので残りのお金すべてと残りの財産をおいていきますのでこれで許してください。」
 そうして厳寒の北海道を薄着でさまようことになったのだ。
 そして何日も食事を取っていなかったたけしはついに厳寒の北海道の路上で力尽きた。
 たけしは自分のバルクアップされた筋肉に語りかけた。
   「なあ、大胸筋よ、おれはもうだめだ」
   「いままで140kgのベンチプレスに良く耐えてきてくれた、だがもう俺たちは終わりのようだ・・・」
   「親友も周囲の人たちも親も親戚も誰も俺を信じてくれなかった。最後まで俺を信じてくれたのはおまえたち筋肉だけだ。」
   「なんだかすごく眠い・・・」
 そしてたけしは力尽きた。
後日わかったのだが、あのマシンは最初から壊れていたそうである。
前日に壊れたのだが、そのことを従業員伝えるのを忘れてジムのオーナーが海外旅行に出かけてしまっていたのだ。
俺はたけしを疑った自分を恥じた。
最後まで彼の味方をしていたのは、己の鍛え上げた筋肉だけだったのだ。

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