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    高貴なる魂は高貴なる身体に宿る − 哲学者の肉体
高貴なる魂は高貴なる身体に宿る − 哲学者の肉体
- 347 :学究明けということで :2005/11/27(日) 22:19:20 ID:lnb5a0PO
 -  学究明けということで… 
  
 29 名前:考える名無しさん[sage] 投稿日:2005/11/27(日) 19:00:06  
 ばかやろう!だまってスレを読んでいれば考えるのは脳だとか内蔵だとか金玉だとか勝手なことばかりいいやがって!  
 哲学をする上では筋肉が大事なんだよ!「大学に入って何で運動しなきゃならないんだ」なんて考えている時点でお前たちは間違っているんだ!!  
 どうせお前たちは頭で考えるばかりで、おれがくどくど言っても屁理屈をこねてにげまわるに決まっているだろうから、  
 お前たちを納得させるには、どうやら俺の過去の経験について語らなければならないようだな・・・。  
  
  
 あれは俺が大学に入って二年目の秋のことだった。  
 サークルにも入らず、かといって友達も作らず、せっせと図書館に通っていた。  
 運動もしないで本を読んでいるばかりだし、金がなく食べ物はあまり食べていなかったから骨と皮のように瘠せていた。  
 そして、運動部に入って青春をおうかしているやつらを心底馬鹿にしていた。  
  
 そんなある日のことだ、いつものようにおれは図書館に行った。  
 司書と目で挨拶を交わし、さっそうと閲覧室に向かう。テスト前ということもあって、多くの学生がひしめいていた。  
 「ふふふ、テスト直前ばかり図書館に来る馬鹿学生どもめ、くだらない経済学書でも読んでいるがいい」  
 そして俺がそんな学生たちを尻目にまっすぐお気に入りの場所、つまり哲学書のコーナーに行くと、  
 何かデブのような愚鈍なようすの男が立って書物を手に取っていた。男が手に取っていた本は  
 ニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』だった。やれやれ、しろうとはすぐにこういう有名な書物に飛びつきたがるものだ。  
  
  
  俺「君、なかなか良い読書センスをしているな。だがまだ君には難しすぎる。まずは『ソフィーの世界』でも呼んでおくのがいい。ぶわはははは!」  
  男「ありがとうございます、図書館の主」   
 - 348 :無記無記名 :2005/11/27(日) 22:19:56 ID:lnb5a0PO
 -  30 名前:考える名無しさん[sage] 投稿日:2005/11/27(日) 19:00:38  
  
 そうしておれは本棚の前に立った。鋭いまなざしを段の橋から橋まで投げて、今日の一冊を探す。俺の殺気ばしったまなざしによって周りの空気が一変する。  
 今日は永い均にしようか、ふふ、それとも野や茂樹にしようかな・・・とそのときである、本棚の横に未整理のまま積まれてあった大量の辞書が、  
 こちらに向かって崩れ始めたのである!総計100キロはあろうかという書物の山が崩れてくる!危険だ!ズズゥゥーーンン!!  
 ・・・しかし不思議と痛みはなかった。そして、おれのまじかででこの世のものとは思えない雄たけびの声が上がったのである  
  
  ヌォォォォォォォォー!!  
  
 それは先ほどのデブの発した声であった。なんとデブは、おれの上に覆いかぶさって、おれを守ってくれたのだ。  
 おたけびはさらにヒートアップし、服の破れた隙間から見える筋肉がみるみるバルクアップしていく。デブのように見えたのは実は筋肉の塊だったのである。  
 脂肪などこれひとつとてなく複雑に入り組んだ筋肉であった。  
  
  オォォォリャァァァァァー!!!  
  
 男がすさまじい表情で最後にそう叫ぶと、辞書の山は遠くに吹っ飛んで行った。  
  
  男「大丈夫かい?怪我はないかな。君は少し体を鍛えたほうがいい」  
  俺「でも、大学に入ってまで体を鍛えるなんて筋肉馬鹿のすることだと思うんです。…!!」  
  
 気付いたときには男の大木のような腕がすさまじい勢いでおれの顎をヒットしていたのである。  
 俺は辞書の山までぶっ飛ばされ、そこにうずくまった。  
  
   俺「・・・・?」  
   男「ばかやろう!貴様それでも哲学志望か?ギリシャ時代を思い返してみろ!高貴なる魂は高貴なる身体に宿るのだ。  
     お前はそれを忘れて肉体を磨くことを怠っている。怠惰な身体には魂は宿らない。鏡を見てみるが良い!」  
  
 そして、男の足元にあるかばんから、恐ろしく使い古された辞書と、ニーチェの原書が覗いているのをおれは気付いた。  
 男は筋肉を鍛えるだけではなく、精神も鍛えていたのだ。両者そろって初めて立派な人間になる。  
 それ以来、おれはジムに通い必死に体を鍛えるようになった。  
 男の輝く筋肉と、そこから繰り出された強烈な一撃は、俺に心身を鍛えることの大事さを叩き込んだのである 。  
 
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