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鍛錬は詭道なり
鍛錬は詭道なり
- 443 :無記無記名 :2005/12/07(水) 10:43:14 ID:sq3we1Sd
- 432 名前:無記無記名 投稿日:2005/12/06(火) 14:19:58 ID:NH9jyk+K
>>428
馬鹿やろう!!
なんだそのセットの組み方は!!
そんな教科書どおりのトレーニングでバルクアップできると思ってるのか!!
トレーニングというのはなあ、ある意味筋肉との知恵比べなんだよ。
これだけでは何を言わんとしてるのかわからないだろうから、どうやら過去の経験について語らねばならないようだな・・
それは高校を卒業して3年がたち、ジムでのトレーニングも慣れてきたころのであった。
木枯らしの吹く中、その日もジムに向かっていたのである。
その日の予定はベンチプレス140kg10レプス、150kg8レプス、160kg5レプスの予定だ。
おれは140kg、150kgを終え160kgをセットし、ベンチに横たわった。
デヤァァァァァァァァー!!!
落雷のような強烈な気合がジム内にこだまし、周囲を圧倒する。
大木のような腕が150kgのバーベルを支え、戦車の前面装甲のように分厚い大胸筋がまるで生きているかのように稼動する。
無事ベンチプレスを終えたおれは少し休憩を取る。
俺がベンチプレスを終えた後にほかの男がベンチプレスをやっている姿をぼんやりと眺めていた。
その男は80kgをセットし15レプスを終え次に120kgでセットしだしたのである。
それを終えると次は60kgをセットしベンチをし、次に180kgをセットしだしたのである。
俺「ガハハハハ!!君、重量のセットの仕方がばらばらじゃないか!!
そんなに重量を極端に上げたり下げたりしてもバルクアップできないよ、180kgなんて無茶だからやめたまえ。」
だが、その男は180kgをセットしたバーベルを握り締め、静寂が周りを包み込み、かみそりの飛び交うような緊張感がジム内に満ち溢れる。
ヌオオォォォォォォー!!
その迫力は見ているだけで重量感が伝わってくる。
そしてそのまま8レプスを終了したのだ。
俺「ば・・ばかな・・・セット重量は徐々に上げていくのが基本だ・・
そんなばらばらな重量設定のトレーニングでここまで鍛え上げれるものなのか・・・」
その男はぽつりと言った。
「鍛錬は詭道なり」
俺は愕然とした。
そのとき、俺の脳裏にある明言がよぎった。
それは古来から様々な用途でもてはやされてきた名書「孫子の兵法書」にある明言である。
兵は詭道なり(兵法とはだまし合いなのだ)
彼の言った一言で俺はすべてを悟りきった。
トレーニングもまた詭道であり、だましあいなのである。
俺のように140kg、150kg、160kgと徐々に重量を上げていけば、筋肉が次の重量を容易に予想し、それに備えてしまうのである。
だが、彼のように80,120、60,180kgとばらばらな重量をセットすることにより、筋肉に次の重量を予測させず新鮮な刺激を与えることができるのだ。
彼はけして最新のトレーニング理論知らないわけではない。
そうではなくて、最新の知識も熟知した上で古来の英知をもトレーニングに取り入れていたのである。
温故知新、まさにこの言葉がぴったりくる。
俺は悟った、鍛錬とは筋肉との知恵比べであり、それは時として詭道(だまし合い)でもあるのだと。
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