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    追い込むということは − ベンチプレスは気を失うまで
追い込むということは − ベンチプレスは気を失うまで
- 738 :無記無記名 :2006/07/29(土) 21:04:22 ID:cYs31rHi
 -  488 名前:無記無記名 投稿日:2006/07/28(金) 02:32:20 ID:vqYKD7mG 
 >>477  
 ばかやろう!!!  
 それのどこが追い込めてるんだ!!!  
 追い込むというのはなあ、自分の精神力と疲労感との葛藤なんだよ!!  
 こんな言葉だけで理解できたとは思えないから、どうやらこの流れは俺の過去の経験を語るしかなさそうだな・・・  
  
 それは俺が大学に入ってアメフト部にいたころの話だ  
 冬になり、トレーニングも室内でのウェートトレーニングが主体に移っていったころのことだった  
 強豪選手を多数生み出した俺の大学のアメフト部のトレーニングは熾烈を極めた  
 その日はベンチプレスをとことんまで追い込む日であった  
 160kgにセットされたバーベルが俺の鍛え抜かれた腕によって支える様は  
 あたかも、象のあの巨体をがっしりと支える足のように逞しく、そして安定感をかもし出していた  
 そして、ゆっくりとバーベルが胸元に下げら静止する  
  
  デヤァァァァァァァァァァァァーー!!!  
  
 大地を揺るがす怒声にも似た気合が部屋中にこだまする  
 まるで油圧機器のようなすさまじい力がバーベルをゆっくりと押し上げる  
 俺は10レプスを何とか終えバーベルをラックに置いた  
  
  俺「ふうー、今日はかなり追い込んだな、ガハハハ」  
  後輩部員「さすがですねえ、160kgを10レプスやってしまうなんてすごすぎですよ、お疲れ様です」  
  
 その時である、それを見ていた鬼コーチの豪腕パンチがうなりを上げ俺の顎を捉え、  
 俺の体は宙を舞った  
  
  鬼コーチ「ばかやろう!!その程度で何が追い込んだだ!!  
       今すぐ170kgで更に10レプスやれ!!いますぐだ!!」  
  先輩部員「むちゃです!160kgでセットを組むだけでもかなりの体力を消耗するのにいまから170kgなど無理です!」  
  俺「いえ、先輩やらせてください」  
 俺は170kgをセットし再びベンチに横たわる  
  
  デヤァァァァァァー!!  
  
 俺の体は疲労感に満ち溢れていたが、それ以上に俺の気合は凄まじさを増し、その疲労感を圧倒的に凌駕していた  
 何とか精神力で10レプスを終え、満足感に浸って立ち去ろうとする  
  
  鬼コーチ「ばかやろう!!まだだ!さらに5kgを追加して10レプス!!」  
  
 俺の体にはすでに体力は残されていなかった、もはや175kgで10レプスどころか  
 1レプスすら上げる自信はない  
 再び5kg追加しバーベルを握り締める  
    
  後輩部員「無茶です!!もうやめてください!どう見てもあと10レプスなんて無理ですよ」  
  俺「ばかやろう!!もう無理だからとか、体力が残ってないからとか、そうじゃないんだよ!!  
    例え力が尽き果て、筋繊維が一つ残らずズタズタになろうとも、心が折れない限り俺は諦めない」  
  
 俺は再びベンチに横たわりベンチプレスを再開した  
 もはや気合は悲鳴のようになり、その凄惨さは周囲で見ているだけで心の奥に伝わってくるのである  
 バーベルを支える腕は震え、よろめきそうになりながらも1回1回力強く回数を重ねていく  
 あと一回というところで俺はついに力尽き、気を失いかけた  
 だが、心は折れなかった  
 最後の力を振り絞り、再び闘志を燃やす  
  
  デヤァァァァァァー!!  
  
 10レプスを終えた俺はバーベルをラックにかけたと同時に気を失った  
 気を失った俺は疲労感から解放された心地よさに包まれながら、追い込むということはどういうことなのかということを悟ったのである  
 そして今後、いかなる過酷なトレーニングにぶち当たろうとも、強靭な精神力と折れない心で乗り切っていけることでであろうことを確信したのである   
 
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